2026年1月のCES 2026で、イスラエルのARウェーブガイドメーカーLumusが次世代製品ZOEを発表した。ジオメトリック(幾何光学)ウェーブガイドとして世界で初めて視野角70度超えを達成した製品であり、これまで「ジオメトリック方式の限界」とされてきた壁を突破したことで業界に大きな衝撃を与えた。
ウェーブガイドの二大方式:ジオメトリックとホログラフィック

ARグラスのディスプレイ光学系には主にジオメトリックとホログラフィックの2方式がある。
| 方式 | ジオメトリック | ホログラフィック |
|---|---|---|
| 原理 | プリズムや鏡面反射で光を導く | 回折格子(HOE)で光を導く |
| 輝度 | 高い(透過率が高い) | やや低い |
| 色再現 | 優秀 | 虹色のアーティファクト(レインボー効果)が出やすい |
| 従来のFoV限界 | 〜50度 | 50〜60度 |
| 厚み | 薄型が難しかった | 薄くしやすい |
ZOEはジオメトリック方式の弱点だった「FoV限界と厚み」を同時に克服し、70度超のFoVを達成した。
もう一つの新製品:Z-30 2.0(日常使い向け30度FoV)

Lumusは同時にZ-30 2.0も発表した。30度FoVで超薄型を実現したこの製品は、眼鏡に見えるデザインを優先するコンシューマーグラス向けのウェーブガイドだ。ZOEが高性能モデル向けとすれば、Z-30 2.0は普及価格帯のスマートグラスを想定した製品といえる。
Meta Ray-Ban Displayへの採用実績が示すもの
LumusはすでにMeta Ray-Ban Display(2025年9月発売・$799)のウェーブガイド供給元として名を連ねている。これは量産品質での実績であり、次世代製品(Ray-Ban Meta Gen 3やその後継)にZOEが採用される可能性を強く示唆する。また、XREAL Project Auraが発表した70度FoV仕様は、LumusのZOEウェーブガイドを採用しているとの見方が業界では有力だ。
ARオプティクス業界へのインパクト
70度FoVの実現は、ARグラスが「視野の一部に情報を表示するデバイス」から「視界全体に情報を統合するコンピューティングデバイス」へと進化する転換点を意味する。LumusのZOEがこの閾値を破ったことで、同様の仕様を持つ製品が2026〜2027年にかけて複数メーカーから登場すると見られる。光学技術の競争がARグラス普及の速度を左右する時代が来た。