2025年9月、Metaは年次イベント「Meta Connect 2025」でRay-Ban Meta Displayを発表した。価格は$799(約12万円)。これまでのRay-Ban Metaシリーズがカメラ・スピーカー・AI音声アシスタントにとどまっていたのに対し、DisplayはLumus製ウェーブガイド光学系を内蔵し、ついに視野内に情報を投影できる初のAIグラスとなった。
スペック詳細:5,000ニットの輝度が屋外使用を可能に

Ray-Ban Meta Displayの主要スペックは以下の通り。
- 解像度:600 × 600 ピクセル
- PPD(Pixels Per Degree):42 PPD
- 視野角(FoV):20度
- 最大輝度:5,000 ニット(直射日光下での視認を実現)
- カメラ:12MP
- コントローラー:Neural Band(手首装着型)
- ウェーブガイド供給元:Lumus
5,000ニットという輝度は、屋外のARグラスにとって長年の課題だった「日中の視認性」を克服する数値だ。従来のMicroLEDやLCoSベースの投影系では数百ニットが限界とされていたが、Lumusのジオメトリックウェーブガイド技術がこれを可能にした。
Neural Band:手のひらの代わりに手首で操作する

Ray-Ban Meta Displayに同梱されるNeural Bandは、手首の神経信号を読み取るウェアラブルコントローラーだ。画面タッチや音声コマンドを使わずにAIアシスタントへの指示やUI操作が行える。スマートグラスにおける「入力」の課題を、視線・音声に次ぐ第三の手段として解決する試みとして業界から注目を集めている。
Lumusとの関係:実績ある供給網が鍵
ウェーブガイドを供給するLumusはイスラエル発の光学専門企業で、CES 2026では視野角70度超えの次世代ウェーブガイド「ZOE」を発表している。Ray-Ban Meta DisplayへのLumus製ウェーブガイド採用は、量産レベルでの実績を意味し、今後の製品ロードマップにも直接影響する。
競合との比較:Apple・XREALとどう違うか
$799という価格は、Apple Vision Pro($3,499)と比較して圧倒的に低い。一方、XREAL Air 2 Proのような既存のAR表示グラスとは「スタンドアロン性」が異なり、Ray-Ban Meta DisplayはスマートフォンなしでもAI機能が動作する点が特徴だ。ただし、20度というFoVは競合のXREAL Project Aura(70度)と比べると限定的であり、「情報を表示する」用途に特化した設計といえる。
現場の視点:「AIグラス元年」の基準点になる製品
価格・デザイン・AIとの統合という三点でバランスのとれたRay-Ban Meta Displayは、2025-2026年の「AIグラス元年」において業界の基準点となる製品だ。$799という価格帯は、技術的先行者ではなくファッション意識の高いアーリーアダプターをターゲットにしており、これが普及のカギを握る。次の焦点は、2026-2027年に登場する第3世代スクリーンレスモデルが何をもたらすかだ。